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『決定木分析による言語研究』出版記念講演シリーズ4:語用論への応用

日程: 2023年10月25日(水)
場所: オンライン

『決定木分析による言語研究』出版記念講演シリーズ4
テーマ:「語用論への応用―間接発話の理解と助言の難しさを決める諸要因」―

▼日時詳細 2023年10月25日(水)20:00-21:00(日本時間)

▼講師 玉岡賀津雄(上海大学教授・名古屋大学名誉教授)
 
▼要旨:今回の講演は著書の第4章と第10章の紹介です。SPSSのDecision Treesを使ったデモンストレーションも行います。
〈第4章は,間接発話の理解です。Taguchi(2008, 2009, Modern Language Journal)は,日本語では「慣習的」な間接発話のほうが「非慣習的」な間接発話よりも正答率が低いと報告しています。そこで,李・玉岡(2019)は,中国の大学で日本語を専攻する中国語母語話者47名に対して,慣習性と非慣習性の間接発話の理解と日本語習熟度(下位・中位・上位群)を測定しました。回帰木分析の結果,英語と同様に,日本語でも「慣習的」な間接発話のほうが「非慣習的」な間接発話より容易に理解されることを示しました。〉
〈第10章は,Brown & Levinson(1978, 1987)のポライトネス理論の枠組で,中国人日本語学習者の助言場面における意識に影響する諸要因を検討した研究(黄・玉岡, 2015)を紹介しています。回帰木分析の結果,助言の難しさは,心理的な要因である助言により「相手を恥ずかしがらせる程度」が最も強く影響しました。「社会的距離(親疎関係)」が次に強い影響要因になりました。ポライトネス理論は基本的に社会的要因に焦点をあてた議論であり,心理的な側面はその他の要因とされています。黄・玉岡(2015)は,心理的要因も強く影響することを示しました。〉

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決定木講演会4